うつせみキッチン パン教室ブログ

自己肯定感を高めるこどもパン教室20年のうつせみキッチン。東京・東池袋教室は大人や講師養成、プライベートレッスンも。

生イースト、知ってますか?

突然ですが、今日は酵母の話です。

ぱんだぬきの大人向けパン教室では

インスタントドライイーストと、

イーストを使い分けています。

 

 

イーストって

ご存じですか?

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 これです。湿った、ぽくぽくした感じのものです。

趣味で頻繁にパンを焼く人でも

あまりなじみがないかもしれません。

 

 

 

酵母いろいろ

 

多くの人が使うのは

インスタントドライイースト

手に入りやすく、発酵力も安定しているので

ぱんだぬきのの子どもパン教室では

もっぱら、インスタントドライイーストです。

 

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これです。

さらさらと顆粒状に加工してあり

粉に混ぜて使うことが容易です。

水に溶かして使うこともできます。

冷凍保存がきいて、大変便利です。

 

 

次に、多くの人が関心を示すのは

天然酵母でしょう。

 

「星野天然酵母」とか「白神こだま酵母」とかは

製菓材料展などで販売されている培養天然酵母です。

過程で予備発酵をして元種を作ってから

パンに仕立てていくタイプ。

自宅パン教室をされている先生には

このような天然酵母を主に教えていらっしゃる方も多いです。

 

そして、一番個性的で扱いの難しい

 自家製天然酵母があります。

「自家製レーズン酵母」「自家製ヨーグルト酵母

「ライムギ酵母」「フルーツ酵母」なども聞くでしょう。

フルーツやヨーグルト、穀類などについている酵母

自分で培養して元種を作り、

ゆっくりパンを作るタイプです。

 

自家製天然酵母は環境に依存し、

個性的なパンを作り出すことができます。

とても魅力的です。

 

ぱんだぬきも

ヨーグルトや、ライムギや、小麦や、果物から

自分で酵母を起こしてパンを作ることがありますが

起こした酵母を種継して使い続けることが

なかなか困難で、続きません。

毎日たくさんのパンを焼き続けることができないと、

なかなか自家製酵母を続けるのは難しいのです。

生地種でリッチなパン - たぬきのぱんやさんにっき

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そんなわけで、自家製酵母

個性的で魅力的なパンを焼き続ける、

職人さんの営む小さなパン屋さんに向いています。

こだわりの素敵なお店も多いです。

 

 

 

酵母は生き物で、ドライイースト

培養した酵母から作られています。

すべてもともとは「天然酵母」です。

  

そして、知られている割に使う人が少ない、

「生イースト」があります。

ソフトなパンを量産するパン屋さんでは

イーストを使うのが主流ではないか、と思います。

ぱんだぬきも長いこと

「生イースト」は業務用のイメージでした。

 

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昭和の古い家庭用成果製パンの本では

「生イーストはパン屋さんで分けてもらいましょう」

と書いてあるものがあります。

 

でも、なかなかパン屋さんに行って

「生イーストはありますか?」って

聞けませんよね。

 

そんな生イーストですが

製菓材料店では100gの小分けで

売っているようになりました。

プロ級の仕上がりを目指す人のために

マニアックな添加物なども売っている、

そういうう品物の一つです。

 

 

ぱんだぬきがでは、

ドライイースト、生イースト、自家製天然酵母

扱います。星野酵母や白神酵母は扱いません。

 

毎年「辻調理師専門学校」の夏期講習で生イースト触れ、

イーストがいいな、と思うようになりました。

それから、時々使ってみて、

香りや生地の感じの違いを実感し、

今では極力切らさず生イーストを持っています。

 日本人好みの、ふんわり優しいソフトパンができます。

大人向け教室も、リッチなパンには生イーストを使います。

パンらしい優しい香りも食欲をそそります。

近くに製菓材料展があったら、

ぜひ使ってみてほしいと思います。

 

使い方としては、

ドライイーストの分量の2~3倍を目安に

変えてみるだけで大丈夫。

生地が柔らかくなるので

心配な人はイーストの分量分、水を減らしてください。

 

 

 

10歳の夏

朝晩少し涼しくなり、夏休みもあと少し。

早いところではもう二学期が始まります。

 

子どもパン教室にやってくる子どもたちも

それぞれの夏休みを過ごして

心も身体も大きく成長して戻ってきます。

 

お迎えのお母さま方とも毎年話をするのですが

特に4年生、10歳前後の夏休みは

低学年の子どもから、高学年のお姉さんお兄さんへ

大きな一歩の夏休みになる子が多いです。

 

何があったわけではなくても

顔つきが大人っぽくなってきます。

自分中心、家族中心、だったのが

広い世界に気が付いて外へアンテナを伸ばして、

いろいろなことを吸収できるようになるのが

ちょうどこの頃なのではないか、と思います。

 

家族、お友達、学校の先生、お稽古事など

自分の周りとのちょっとしたトラブルや

反抗期の走りのような態度が始まることも多いでしょう。

今までかかわりのなかったことへも関心が出てきて

世界がぐっと広がる時期でもあると思います。

 

また、私の持論ですが、

この10歳前後に好きだったことは

一生を通して好きなことが多いです。

私自身もこの年齢前後でピアノやヴァイオリンに興味を持ち、

今もずっと音楽とかかわって暮らしています。

 

私の3人の子どもたちもこの時期に

本好きだった子は今も本をよく読むし

ピアノや楽器の好きだった子はずっと好きだし、

絵を描くのが好きだった子はやはりそれが好き。

 

三つ子の魂も100までですが

10歳児の魂も100までだと思うのです。

 

そう考えると、

10歳の夏をどう過ごしたか、

10歳の夏に何を考えていたか

とっても大事なことだと言えます。

 

10歳の瑞々しい感性を大事にしてあげたい、

そう思います。

 

 

 

お休みをいただいて

 

 

 

久しぶりの更新となってしまいました。

 

子どもパン教室も、

大人向けのパン教室も

8月は夏期講習を除いて

お休みをいただいています。

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毎年夏休みにはパンの勉強をしに

東京国立のエコール辻で行われる、

専門学校の通信教育部の修了生向け研修に参加します。

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それは、大きなパン屋さんで作るようなパンの講習で、

専門の大型の設備を使った、本格的な製パンを

基礎からしっかり実習できる、研修会です。

 

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大量のパン生地を機械でこねてたくさんのパンを

同じ品質で作り、消費者に提供するための製パンです。f:id:pandanukichen:20190824162530j:plain

家族の顔を思い浮かべながら、

手捏ねで自分だけのパンつくりをする

子どもパン教室とは正反対の製パンです。

 

そんな、自宅教室とは真逆の製パンですが、
製パンの基本が詰まった講座です。
辻製菓専門学校で成果製パンのプロの卵を

常日頃指導している先生方の直接技術指導です。

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*1

 

どの先生も製菓製パン何でも聞いてください、

というスタンスで教えてくれます。

ですから、プロの製パンと家庭製パンをつなぐ役目をしている、

私のような自宅教室の先生のさまざまな疑問に

科学的見地から製パン理論を踏まえて答えくださいます。

 

今回は業務用の製パンばかりではなく、

レストランなどの飲食店での自家製パンに応用できるような

特別な製パン機器を使わないパンも含まれていました。

エコール辻では販売の授業もあり、

その担当の近藤先生はベーカリーではない、

カフェやレストランのパンについての本も書かれています。

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先生やスタッフの素晴らしさはもちろんですが

通信教育で学ばれている生徒さんも素晴らしいです。

 

パン屋さんで働く人、レストランオーナー

自宅パン教室の先生や

大手パン教室で講師をしている人、

パンを製造販売している人まで。

 

本当のパン好きがたくさんです。

パン屋さんを開業してなかなか来られなくなった人も

どうしているかな、と聞くと誰かが消息を知っています。

 

通信を修了して何年も通う人が何人もいて

パンを志すだいじな仲間です。

毎年、生徒さんたちからも

大きな刺激を受けて帰ってきます。

 

学んできたことを教室に生かして

家庭製パンとプロの製パンを取り持つのが

私の役目だな、頑張らないと、と

感じて帰ってきました。

 

www.pandanuki.com

 

 

*1:これはプレッツエルの成型を教わっているところ。指導の小野先生はNHKグレーテルのかまどの製菓監修をしていらっしゃいます。

学びは「間」にある

作業の「間」にあるものは

 

こども教室での作業の様子です。

粉に水を入れて、混ぜて、捏ねて、

作業は一人ずつですが、テーブルを囲んで一緒に進みます。

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ぱんだぬきの教室は毎月同じクラスで通ってもらう形式です。

初めての生徒さんがクラスに入ってくるときには

自己紹介をします。

 

学校や学年や性別がバラバラでも、一つのテーブルで

一緒に作業し、一緒におやつを食べ、おしゃべりをして

段々に仲良くなります。

知らなかった者同士も一緒に遊ぶようにもなります。

 

こどもパン教室は知的刺激の宝庫 

年度末のパン教室はオリジナルパンです。

高学年は事前に三か月かけて、

パンを作る合間にレシピを書きます。

自分だけのパンを実現するのです。

 

作るのは自分だけのパンですが

レシピを作る過程でも

また当日実際作りながらも

周りの子の影響が大きく出ます。

 

先生に助けを求めることももちろん多いですが

子どもたちはお互いのパン作りを観察し自分と比べ、

いろいろ話をしてアイデアを出し合います。

自分のレシピに変更を加えたり、

捏ね具合や生地の温度を確かめ合ったりして

完成させて行くのです。

 

そうやって出来上がるのはこんなパンです。

レシピを書いて準備してあるので、

子どもたちはいつもと同じ90分の教室で

みんながそれぞれ違うパンを作り上げます。

 

時にはまねっこであったり、

当日になってからの大幅変更だったりしますが

そういう臨機応変なところも、

クラスの仲間があってこそ。

 

だからクラスごとにパンの雰囲気が違ってきます。

先生と生徒の一対一の関係だけでは得られない学びが

子どもたちの間にあるのだな、と実感します。

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学びは「間」にある

 

また、パン教室での子どもたちの学びは

パンの作り方だけではありません。

仲間との会話のなかに隠れている

知的好奇心を刺激する「間」こそが、学びの場です。

子どもたちの真ん中にあるテーブルであり、

作業と作業の間の隙間時間です。

 

たとえば、年齢も学校も性別も違う三人のクラスで、

誰も遊び方をよく知らないゲームを始めることになりました。

「algo」という数当てゲームです。

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説明書を私が読んで一人と対戦を始めました。

他の2人も一緒に覗き込んで興味津々。

次回は見ていた子もできるようになっているでしょう。

 

色々なことを知っているのは楽しい、

会話を通して知識を高めていく

共通の体験をして信頼が築かれ、

コミュニケーションの土台が

こうして育って行くのだな、と思います。

 

こういう「場」と「間」が子どもたちを育てます。

だからこそ、グループ固定の毎月一回のパン教室という

ちょっと努力の必要なシステムで

長く続いてこられているんだと思います。 

 

記憶に残る教室に

パン教室の壁には色々なものが貼ってあります。

 この大きなふくろうの絵は初めて教室に来た子どもの多くが

関心を示してくれます。

次男が6年生のころに絵画教室で

大きなベニヤ板に描いた白ふくろうです。

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大人が見れば稚拙な子どもの絵が

美術展のポスター等よりも気になるようです。

だれが、何歳くらいの時に描いたの?

質問と共に色々な感想を教えてくれます。

 

他にも展覧会のチラシや、観光地での写真、

箱根駅伝の傍、地下鉄の路線図、

夫さんの撮った写真、旅行のお土産の絵葉書など

雑多に掲示してあります。

 

ぱんだぬきの備忘録でもある壁ですが、

色々なものが貼ってあるのを

生徒さんたちは見ています。

気になれば聞いてくれて、

それがその日のみんなの話題になったり

次の興味への一歩になったりするのです。

 

 

先日はある女の子が、

「張ってあった水玉の女の人あったでしょ?」

「・・・?ああ、草間弥生ね!」

「このあいだ図工の時間にお友達があの水玉のマステを持ってたの」

草間弥生展のチラシが張ってあったのは

一年以上前ですが、印象に残っていたのでしょう。

 

もうそのチラシは張っていないですが

現代美術の巨匠の生い立ちや水玉の始まり

瀬戸内直島の水玉のかぼちゃのこと、

現在の生活(病院からアトリエに通う日々)など

ぱんだぬきの知っていることを話ししました。

 

 おそらく、彼女の記憶の中には

パン教室の雑多な掲示草間弥生が結びついて

次にいつかどこかで草間弥生の作品を見た時に

鮮やかに思い出されることでしょう。

 

雑多な風景の記憶

 

おそらく、これら掲示に限らず

パン教室にある雑多なもの、

マトリョーシカ、マテ(ひょうたんの楽器)、聴診器、

オペラグラス、上皿ばかり、将棋やチェス、

時刻表や図鑑、卓球のラケット、など

どの子も何かを記憶にとどめていると思うのです。

 

それがいつかどこかで、

新しい経験の何かと繋がって

その子の糧となって行くだろうとおもいます。

 

ぱんだぬきは旅行や散歩の度に

教室に置く何かを探してしまいます。

いつまでも記憶に残る教室にしたいと思っています。