うつせみキッチンのブログへ
お越しいただきありがとうございます。
手探りで始めた自宅でのこどもパン教室が口コミで広がり、
気が付けばそろそろ20年という今年、コロナ禍で
パン教室の在り方を問い直す機会に恵まれました。
緊急事態宣言で休講中にレシピや写真を見返して思い出に浸りながら
「こどもパン教室」という形態について、いろいろ考えています。
<一人だけココア嫌いで抹茶パンになっている>
教室を始めたころの生徒さんの笑顔や生徒さんが作ったパンの写真、
作り続けてきた沢山の子どもパン用のレシピ、
教室のおやつのために作ったお菓子のレシピ
やろうと思ってとん挫している子どもパン教室協会、
通った講習や集めたレシピ本、
子どもたちのために集めたおもちゃや絵本。
教室を始めたころ幼児から小学生だった私の子どもたちは
もう結婚して子どもが生まれたり大学院生になったりして家を離れ
今、夫婦二人の暮らしに元気を与えてくれているのは
通ってきてくれているたくさんの生徒さんたちや
巣立っていった生徒さんとの思い出だったりしています。
<コロナ前には定員は6人でした。この日はグリッシーニ>
そんな、私にとって大切なこどもパン教室。
コロナに負けてはいられません。
うつせみキッチンとして活動の場を広げようと思っています。
どうぞよろしくお願いします。
子どもパン教室を始めたきっかけ
パン教室を始めたのは
幼稚園ママの料理サークルを主宰していたとき。
夏休みのお楽しみとしてお菓子かパンを教えて、
という声がきっかけでした。
マドレーヌとかアメリカンクッキーのレシピが残っています。
短時間で粉をこねてパンが出来上がれば
焼きたてパンが食べられてお昼ご飯にもなるし
ちょっとしたお楽しみになるんじゃないか、
そんな気軽な気持ちでパン作りもやってみました。
そうしたら
パン作りは子どもたちの食いつきが違いました。
お菓子と違って待ち時間も長く、
華やかさに欠けるパン。
それなのに、一度の体験で虜になる子が続出。
いやいやお母さんに連れられてきて
「お稽古事なんか絶対いや、
体験しても、入らないからね」
と言ったのに90分後のお迎えの時には
「次も来る。」と言い出すこともしばしば。
男の子も、女の子も、
1年生から6年生まで
いえいえ、卒業しても研究生(?)で残る子も。
勉強が苦手だったり、
コミュニケーションが苦手だったりと
ちょっと困難を抱えたお子さんも
お勉強やスポーツで忙しいお子さんも
楽しく通ってくれました。
<パンの写真をとろうといったら、みんながVサインを差し出しました>
お友達と一緒に、きょうだいで一緒に、
異年齢・異性と一緒のクラスでも
それぞれ楽しそうにパンを作ってくれました。
一人で全工程を体験するパン作りには
お菓子作りや料理教室にない良さが
あることに気づいたのです。
パンつくりの一見単調な工程のなかに
沢山の余白が隠れていたことがよかったのです。
少ない決まり事を守ることだけで
家族に喜ばれるパンが作れる。
<年度末のオリジナルパン。高学年はレシピも自分で書きます>
嫌いな食材が出てくれば避けることもできるし、
こうしたい、という思いがあればレシピの変更もできる。
発酵や焼成という空き時間も自由に使える。
自分でレシピを書くこともできるようになってくる。
自由度の高いパンつくりを提供したら
子どもたちは自由な発想で余白を埋めてくれました。
これが、何かと窮屈な現代を生きる子どもたちの
心を開放することに繋がったのかなと思います。
そう、子どもたちの自由な発想を尊重してきたことで
こどもパン教室はお楽しみイベント的な教室ではなくなりました。
そんな余白だらけの教室で
子どもたちはいろいろなものを学び取っていくようです。
私が教えていることはパンだけですが、
学んで行くのは一人一人違うもの。面白いです。
毎月決まった日の固定クラスで小学生が通ってくる、
書道教室やピアノ教室や造形教室のような、
いわゆるお稽古事に昇格できたのだと思います。
20年、こどもパン教室を続けてこられて
まだこれからも続けていきたい、と
思えるようになったのも、
生徒さんたちのおかげだったのです。
先日はパン教室を育てるなどと偉そうなことを書きましたが
パン教室に育てられているだけなのかもしれません。
緊急事態宣言が解除になったら、
また一緒にパンを作りましょうね。
まっていてくださいな。